ヤマハ発動機の決算チェック【2026年1〜6月】

日本株・個別株

8月4日にヤマハ発動機(7272)が決算を発表しました。12月が決算期の会社なので、今回は上期(1〜6月)の内容となっています。

前回の決算(5月15日)のあとの株価は6月に1,200円を割りましたが、そこからじわじわ戻して7月末には1,400円台に乗せました。

それではさっそく確認していきます!

決算の見方【AIとチェックリストを作ってみた】
決算とは何かというところから、決算短信のどこを見るのかまで。毎回同じ項目をチェックできるように、AIと9項目のチェックリストを作りました。

決算チェック(9項目)

① 売上と4つの利益

項目2026年1〜6月前年同期比
売上収益1兆4,980億円+17.2%
営業利益1,585億円+88.6%
税引前利益1,595億円+92.5%
純利益1,139億円+114.7%

売上収益が+17.2%なのに対して、営業利益は+88.6%と倍近くに増えています。売上収益に対する営業利益の割合も6.6%から10.6%に上がりました。会社は上期として過去最高の売上と利益だと説明しています。

② 通期予想に対する進捗率

項目通期予想前期比今期上期の進捗率前年上期の進捗率
売上収益2兆9,000億円+14.4%51.7%49.7%
営業利益2,600億円2.1倍61.0%70.0%
純利益1,700億円10.6倍67.0%118.0%

営業利益の進捗率が前年の70.0%より低いのは、分母の通期予想が今回引き上げられたためです。引き上げ前の予想1,800億円に対しては88%まで進んでいました。

ただし進捗率が高くても、通期がそのとおりになるとは限りません。前年は上期の進捗が118.0%でしたが、通期は予想450億円の36%にあたる161億円で着地しました。下期に減損損失と繰延税金資産の取り崩し(将来の節税見込みの取り消し)があったためです。

③ 業績予想の修正

上方修正がありました。会社は2月13日に出した期初予想を、この決算と同時に引き上げています。

項目期初予想(2月13日)修正後(8月4日)
売上収益2兆7,000億円2兆9,000億円
営業利益1,800億円2,600億円
純利益1,000億円1,700億円

営業利益は800億円の上乗せです。会社はこの2,600億円を過去最高益と説明しています。

④ セグメントと増減の理由

セグメント売上収益前年同期比営業利益前年同期比
ランドモビリティ(二輪車など)9,846億円+21.8%1,127億円+89.8%
マリン(船外機など)3,007億円+7.4%460億円+18.3%
アウトドアランドビークル803億円+3.3%-120億円赤字(前年-137億円)
ロボティクス601億円+24.5%37億円黒字化(前年-15億円)
金融サービス636億円+18.1%121億円+50.6%
その他87億円-11.6%-41億円赤字(前年-71億円)

稼ぎ頭は二輪車です。インドと東南アジアで販売台数が伸びました。船外機のマリンも増収増益で、この2つで営業利益のほぼ全部を稼いでいます。ロボティクスは半導体の後工程装置と中国向けのマウンター(電子部品を基板に載せる装置)が伸びて黒字に変わりました。

営業利益の増加(840億円→1,585億円)の内訳は以下のとおりです。

増減の理由金額
販売の増加+657億円
為替+303億円
研究開発費の削減+73億円
販管費の削減+52億円
その他+55億円
原材料などのコスト-196億円
米国の関税-200億円

※四捨五入のため、内訳の合計(744億円)は実際の増加額745億円と一致しません。

最も大きいのは販売の657億円です。次が為替の303億円で、円安が止まればこの分は消えます。

赤字が続いているのはアウトドアランドビークル(四輪バギーやゴルフカー)です。会社は同じ8月4日にこの事業の構造改革を発表しました。米国工場でのROV(レジャー向けの四輪車)の自社生産をやめ、OEM供給(他社に作ってもらう形)に切り替えます。あわせて正社員約200名を含む約300名の人員調整を行います。一過性の費用120億円は上方修正後の予想に織り込み済みです。会社は2028年の単年度黒字化を目指すと決算説明会資料に書いています。

⑤ 会社ごとのKPI

ヤマハ発動機の場合は二輪車の出荷台数です(マリンは船外機の台数)。

地域総需要(前年比)当社の出荷台数(前年比)
インド123%141%
ベトナム106%210%
タイ104%134%
インドネシア109%100%
欧州・米国・日本106%106%
船外機(北米・欧州)98%99%

インドとベトナムは市場そのものより出荷が伸びています。インドネシアは需要109%に対して出荷が100%でしたが、会社は小売りが増えていると説明しています。船外機は北米・欧州の台数が前年並みでした。

⑥ 自己資本比率と借入

自己資本比率(国際会計基準では親会社所有者帰属持分比率)は41.4%で、前期末の39.0%から上がりました。

有利子負債は1兆297億円で、前期末から147億円減っています。金額が大きく見えるのは、ヤマハ発動機が自社製品のローンを扱う金融サービス事業を持っているためです。手元の現金を差し引いたD/Eレシオ(借金が自己資本の何倍か)は0.50倍で、前期末の0.58倍から下がりました。

⑦ キャッシュフロー

区分金額何のお金か
営業キャッシュフロー+1,534億円本業で稼いだ現金
投資キャッシュフロー-508億円設備などへの投資
財務キャッシュフロー-1,108億円借入の返済と配当

営業キャッシュフローは前年同期の367億円から1,534億円に増えました。利益が伸びたことに加えて、在庫が668億円減ったことが効いています。営業から投資を引いたフリーキャッシュフローは1,026億円のプラスでした(前年同期は31億円のマイナス)。

⑧ 配当

中間期末年間
2025年12月期(実績)25円10円35円
2026年12月期(予想)25円25円50円

2026年12月期の年間配当は50円の予想です。前期の35円から15円増えますが、この50円は2月13日の期初予想から変わっていません。

自己株式の取得は「機動的に実施」と決算説明会資料に書かれています(前期は100億円)。

⑨ コンセンサス予想との比較

マネックス証券の銘柄スカウターで、2026年12月期の営業利益のアナリスト予想を確認しました(2026年8月時点)。

金額会社予想との差
会社予想2,600.0億円
コンセンサス(アナリスト予想の平均)2,631.3億円+1.2%
いちばん強気な予想2,722.0億円+4.7%
いちばん慎重な予想2,541.0億円-2.3%

平均は会社予想を1.2%上回るだけで、いちばん慎重な予想は会社予想を下回っています。上方修正後の2,600億円が、そのまま市場の見立てになっている状態です。

営業利益の進捗率は、会社予想に対しては61.0%でした。コンセンサスの2,631.3億円に対しては60.2%で、ほぼ変わりません。

決算を読んでみて

今回の決算は増収増益で、会社は通期予想も引き上げました。上期は文句なしです。

純利益の通期予想が前期の10.6倍なのは前期が減損損失と繰延税金資産の取り崩しで沈んだ反動ですが、実力に近い営業利益でも2.1倍なので、割り引いても十分に大きい伸びです。

二輪車の出荷はインドと東南アジアで伸びていますし、赤字だったアウトドアランドビークルには手が入りました。株価は決算前日の1,332.5円から、8月21日には1,940円まで上がりました。決算の良さはひととおり織り込まれたように見えます。ここから先は会社予想を超えられるかどうかだと思っています。

まとめ

  • ヤマハ発動機の2026年1〜6月は、売上収益+17.2%・営業利益+88.6%の増収増益。通期予想も営業利益1,800億円から2,600億円へ上方修正
  • ただし純利益の10.6倍は、前期が減損損失と繰延税金資産の取り崩しで161億円まで落ちた反動。営業利益の増加745億円のうち303億円は為替
  • アナリストの営業利益予想平均は2,631億円で、上方修正後の会社予想を1.2%上回るだけ
  • 赤字のアウトドアランドビークル事業は構造改革へ。年間配当は前期の35円から50円の予想で、期初から変わっていない

決算のどこを見るかは決算の見方【AIとチェックリストを作ってみた】にまとめています。

※記載の数字はすべて執筆時点(2026年8月)のものです。個別銘柄の売買を勧めるものではありません。

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