2026年8月5日に、二輪や四輪を手がけるホンダ(7267)が決算を発表しました。3月が決算期の会社なので、今回は第1四半期(4〜6月)の内容となっています。
ホンダは前期(2026年3月期)にEV(電気自動車)関連の損失を出し、4,143億円の営業赤字でした。
それではさっそく確認していきます!

決算チェック(9項目)
① 売上と4つの利益
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 6兆615億円 | +13.5% |
| 営業利益 | 5,307億円 | +117.4% |
| 税引前利益 | 6,050億円 | +107.0% |
| 純利益 | 4,509億円 | +129.3% |
※前年同期の営業利益には、EV関連の損失1,220億円が入っています。
営業利益は四半期として過去最高になりました。EV関連の損失を除いて比べると1,645億円の増益で、おもな理由は円安(1ドル145円→159円)の908億円と、関税の負担が減った781億円です。
② 通期予想に対する進捗率
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 今期1Qの進捗率 | 前年1Qの進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 24兆1,500億円 | +10.8% | 25.1% | 25.3% |
| 営業利益 | 6,500億円 | 黒字転換 | 81.7% | 34.9% |
| 純利益 | 4,000億円 | 黒字転換 | 112.7% | 46.8% |
※通期予想は8月5日の修正後の数字です。前年1Qの進捗率は、当時の決算短信の数字と当時の通期予想で計算しています。
純利益は、第1四半期だけで通期予想を上回りました。会社が挙げる理由は通期で約5,200億円を見込むEV関連の損失が第1四半期にはまだ出ていないこと、研究開発費などの費用が下期に多く出ること、原材料高の影響があとから表れることの3つです。
③ 業績予想の修正
| 項目 | 修正前(5月14日) | 修正後(8月5日) | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 23兆1,500億円 | 24兆1,500億円 | +4.3% |
| 営業利益 | 5,000億円 | 6,500億円 | +30.0% |
| 純利益 | 2,600億円 | 4,000億円 | +53.8% |
上方修正の理由は、為替の前提を1ドル145円から155円に変えたことだけです。販売台数や原材料の見込みは中東情勢の先行きが見えないため変えておらず、第2四半期の決算で改めて判断するとしています。
④ セグメントと増減の理由
| セグメント | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 二輪 | 2,339億円 | 1,890億円 | +23.8% |
| 四輪 | 1,921億円 | -296億円 | 黒字転換 |
| 金融サービス(ローンやリース) | 1,058億円 | 850億円 | +24.5% |
| パワープロダクツ・その他(発電機や航空機など) | -11億円 | -2億円 | — |
※営業利益です。
二輪の営業利益は四輪を上回り、利益率(20.5%)とともに四半期として過去最高でした。インドとブラジルで販売台数が増えたためです。
四輪の営業利益は、EV関連の損失を除いた前年同期と比べても2倍以上で、関税の負担が減ったことが効いています。関税の負担が減ったのは、北米で作った車の関税の減免と、前期に入るはずだった分が第1四半期にずれ込んだためです。会社はこの2つを実力を上回る部分と見ています。
⑤ 会社ごとのKPI
ホンダの場合は、事業ごとの販売台数です。
| 事業 | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 二輪 | 566万3千台 | 514万3千台 | +10.1% |
| 四輪 | 78万6千台 | 83万9千台 | -6.3% |
| パワープロダクツ | 75万2千台 | 82万8千台 | -9.2% |
※中国の合弁会社など、持分法適用会社の販売も含めた台数です。
四輪の減少は中国で7万4千台減ったためで、北米は前年同期より増えています。ハイブリッド車の小売台数は世界で24万9千台と、前年同期より2万4千台増えました。
⑥ 自己資本比率と借入
自己資本比率(国際会計基準では親会社所有者帰属持分比率)は35.9%で、前期末の35.3%から上がりました。ローンやリースを扱う金融子会社の資産が全体の約半分を占めるため、低めに出ます。
⑦ キャッシュフロー
| 区分 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | +2,925億円 | +857億円 |
| 投資キャッシュフロー | -3,991億円 | -2,101億円 |
| 財務キャッシュフロー | +2,504億円 | -3,251億円 |
| フリーキャッシュフロー | -1,065億円 | -1,244億円 |
投資キャッシュフローのマイナスが増えたおもな理由は、工場や設備の取得に使ったお金が前年同期の1,282億円から5,797億円に増えたことです。会社は今期の設備投資が増える理由に、米国でバッテリーを作る合弁会社の工場建屋の取得を挙げています。
⑧ 配当
| 中間 | 期末 | 年間 | |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期(実績) | 35円 | 35円 | 70円 |
| 2027年3月期(予想) | 35円 | 35円 | 70円 |
前期は赤字でしたが、配当は前々期の68円から70円に増やしました。今期も70円の予想で、5月14日の公表から修正はありません。配当はDOE(株主資本に対する配当の割合)3%を目安に出す方針です。
⑨ コンセンサス予想との比較
マネックス証券の銘柄スカウターで、2027年3月期の営業利益のアナリスト予想を確認しました(2026年9月21日時点)。
| 金額 | 会社予想との差 | |
|---|---|---|
| 会社予想 | 6,500億円 | — |
| コンセンサス(アナリスト予想の平均) | 8,348億円 | +28.4% |
| いちばん強気な予想 | 1兆550億円 | +62.3% |
| いちばん慎重な予想 | 6,800億円 | +4.6% |
いちばん慎重な予想でも、会社予想を上回っています。
決算を読んでみて
今回の決算は増収増益でした。四輪は、EV関連の損失があった前年同期の赤字から黒字に転じており、ここが大きかったように思います。
次の第2四半期の決算では、会社が据え置いた販売台数と原材料の見込みがどう変わるかを見ていきたいです。
おまけ

前期のEV関連の損失って、具体的には何があったの?
前期のEV関連の損失1兆4,536億円は、ほとんどが第4四半期(1〜3月)に出ています。前期の営業赤字4,143億円は、この損失が本業の利益を上回った結果です。
第4四半期の内訳は、開発してきた資産や設備の価値を落とした分が6,439億円、戦略を変えたことに伴う追加の費用が5,426億円です。残りは第3四半期までに出ていた2,671億円です。
ホンダは2026年3月に四輪の電動化戦略を見直しました。第4四半期の分は、そのときにまとめて処理したものです。

電動化戦略の見直しって、何を変えたの?
米国で作る予定だった3車種のEV「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」の開発と発売をやめました。
背景として会社は、米国でEVの補助金が見直されるなどして市場の広がりが鈍っていることを挙げています。中国やアジアでは、新興のEVメーカーに比べて値段に見合う商品を出せず、競争力が落ちたとしています。
今後はハイブリッド車に力を入れ、EVは採算や需要を見ながら長い目で出していく方針です。

EV関連の事業は縮小、販売台数も減ることになるが損失も減少していく、ということであっている?
損失が減っていくのは合っています。今期のEV関連の損失は約5,200億円の見込みで、前期の1兆4,536億円から大きく減ります。会社はいま把握しているリスクを今期中に処理する考えで、来期に大規模な損失は持ち越さないとしています。
EVの小売台数は、4〜6月に世界で前年同期の1万8千台から1万4千台に減っています。増えているのはハイブリッド車です。
まとめ
- ホンダの2026年4〜6月は、売上収益+13.5%・営業利益+117.4%の増収増益。営業利益は四半期として過去最高
- 二輪はインドとブラジルで台数が伸びて増益。四輪は前年同期にあったEV関連の損失が今回は出ておらず、関税の負担も減って黒字に戻った
- 純利益は第1四半期だけで通期予想を上回ったが、通期で約5,200億円のEV関連の損失はこれから出る見込み。上方修正は為替の前提を変えた分だけ
- 年間配当は70円の予想。前期は赤字でも68円から70円に増配した
決算の確認の仕方は、決算の見方【AIとチェックリストを作ってみた】にまとめています!
※記載の数字はすべて執筆時点(2026年9月)のものです。個別銘柄の売買を勧めるものではありません。


