2026年8月4日に、防衛御三家のひとつ、三菱重工業(7011)が決算を発表しました。3月が決算期の会社なので、今回は第1四半期(4〜6月)の内容となっています。
それではさっそく確認していきます!

決算チェック(9項目)
① 売上と4つの利益
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆1,942億円 | +15.5% |
| 事業利益(営業利益にあたる利益) | 1,596億円 | +65.1% |
| 税引前利益 | 1,764億円 | +99.0% |
| 純利益 | 1,346億円 | +97.4% |
※売上収益・事業利益・税引前利益・受注高・セグメントの前年同期は、5月に売却を終えたフォークリフトの事業(ロジスネクスト)を除いて組み替えた数字です。
売上収益の増加が15.5%なのに対して、事業利益は65.1%増えています。売上収益に対する事業利益の割合も9.4%から13.4%に上がりました。純利益がほぼ倍になったのは、事業利益の増加に円安による為替差益が加わったためです。
② 通期予想に対する進捗率
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 今期1Qの進捗率 | 前年1Qの進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5兆4,000億円 | +8.6% | 22.1% | 22.1% |
| 事業利益 | 5,400億円 | +24.9% | 29.6% | 24.8% |
| 純利益 | 3,800億円 | +14.4% | 35.4% | 26.2% |
※前年1Qの進捗率は、当時の決算短信の数字と当時の通期予想で計算しています。
売上収益の進捗率は前年と同じで、事業利益と純利益は前年の同じ時期より進んでいます。
③ 業績予想の修正
売上収益と利益の通期予想は、5月12日に出したものから変わっていません。修正したのは受注高とフリーキャッシュフローの見通しです。
| 項目 | 修正前(5月12日) | 修正後(8月4日) |
|---|---|---|
| 受注高 | 6兆8,000億円 | 7兆円 |
| フリーキャッシュフロー(営業と投資のキャッシュフローの合計) | 3,000億円 | 6,000億円 |
受注高は、ガスタービンと防衛・宇宙でそれぞれ1,000億円上乗せしています。フリーキャッシュフローの見通しを引き上げたおもな理由は、ガスタービンの前受金(工事の前に受け取る代金)が想定より増えたことです。会社は、前受金は工事を進めるなかで使っていくものなので、配当や投資にすぐ回せるお金ではないと説明しています。
④ セグメントと増減の理由
| セグメント | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| エナジー(ガスタービン・原子力など) | 1,013億円 | 564億円 | +79.8% |
| プラント・インフラ(製鉄機械・商船・交通システムなど) | 217億円 | 185億円 | +17.1% |
| インダストリアル・ソリューション(エンジン・冷熱・カーエアコンなど) | 99億円 | 40億円 | +146.3% |
| 航空・防衛・宇宙(防衛装備・民間機・宇宙など) | 324億円 | 288億円 | +12.6% |
※事業利益です。全社の費用などを差し引く前の金額なので、4つを足しても会社全体の事業利益とは一致しません。
エナジーの1,013億円は、4つを足した額の約6割にあたります。エナジーではガスタービンと原子力の売上が伸びたうえにガスタービンの採算も良くなり、売上収益に対する事業利益の割合が13.3%から18.9%に上がりました。
今回の事業利益には、会社が特殊要因と呼ぶ一時的な利益が約250億円含まれていて、ほとんどがエナジーの分です。中身は、大規模な長期の工事で売値が決まって利益をまとめて計上した分と、発電関連の事業への投資を売った利益です。事業利益の増加629億円のうち、為替の影響は90億円でした。
航空・防衛・宇宙は、防衛の工事が順調に進んだことなどで売上と利益が増えています。
⑤ 会社ごとのKPI
三菱重工の場合は、数年先の売上のもとになる受注高です。
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 受注高 | 2兆224億円 | 1兆6,092億円 |
| うちエナジー | 1兆3,593億円 | 8,713億円 |
| うち航空・防衛・宇宙 | 1,209億円 | 3,508億円 |
| 大型ガスタービンの受注台数 | 10台 | 8台 |
受注高は25.7%増えて、6月末の受注残高(まだ売上になっていない受注)は3月末より8,653億円多い14兆1,030億円になりました。今回受注したガスタービンの出荷は、おおむね2028〜2030年の予定です。
航空・防衛・宇宙の受注が減ったのは、前年同期に防衛の大きな案件があった反動です。
⑥ 自己資本比率と借入
自己資本比率(国際会計基準では親会社所有者帰属持分比率)は38.9%で、前期末の37.3%から上がりました。有利子負債は5,198億円ですが、手元の現金が1兆6,840億円あり、借入より現金のほうが多い状態です。
⑦ キャッシュフロー
| 区分 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | +2,845億円 | +896億円 |
| 投資キャッシュフロー | +1,069億円 | -253億円 |
| 財務キャッシュフロー | -821億円 | -478億円 |
| フリーキャッシュフロー | +3,914億円 | +643億円 |
4〜6月の営業キャッシュフローを押し上げたのは、売掛金など(あとで受け取る約束の代金)が2,994億円減って現金になったことと、前受金が3,071億円増えたことです。投資キャッシュフローがプラスなのは、フォークリフトの事業などを売って1,461億円が入ったためです。
⑧ 配当
| 中間 | 期末 | 年間 | |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期(実績) | 12円 | 13円 | 25円 |
| 2027年3月期(予想) | 14円 | 15円 | 29円 |
年間配当は4円の増配予想で、5月12日の公表から修正はありません。
⑨ コンセンサス予想との比較
マネックス証券の銘柄スカウターで、2027年3月期の税引前利益のアナリスト予想を確認しました(2026年9月11日時点)。
| 金額 | 会社予想との差 | |
|---|---|---|
| 会社予想 | 5,300億円 | — |
| コンセンサス(アナリスト予想の平均) | 6,278億円 | +18.5% |
| いちばん強気な予想 | 6,700億円 | +26.4% |
| いちばん慎重な予想 | 5,720億円 | +7.9% |
いちばん慎重な予想でも、会社予想を上回っています。
決算を読んでみて
今回の決算は増収増益で、一時的な利益を除いても事業利益は4割近く伸びています。会社は利益の通期予想を据え置きましたが、エナジーについては予想を少し上回る余地があると見ています。会社によると、一時的な利益を除いても、4〜6月のエナジーの売上収益に対する事業利益の割合は通期の予想を上回っています。
今回の伸びを引っ張ったのは、防衛ではなく発電設備でした。受注高と前受金はガスタービンが大きく増やし、事業利益もガスタービンと原子力が伸ばしています。数年先の売上になる受注がすでに積み上がっていて、中身の強い決算だったと思っています。
おまけ

三菱重工の決算は良かったように思うんだけど、株価は今年3月に最高値をつけたあと、3,000円台まで下げてそこからヨコヨコになっているよね?
はい。9月11日の終値は3,705円で、決算前日の3,799円を少し下回っています。3月2日の終値5,195円が高値で、6月には3,400円台まで下げていました。
売られたのは三菱重工だけではありません。3月2日からの値下がりは三菱重工が28.7%で、同じ防衛御三家の川崎重工業は36.9%、IHIは39.9%です。この間に日経平均は10.3%上がっています。
決算の前に、株価はすでに大きく上がっていました。2025年の年初から3月の高値までの1年あまりで、約2.3倍です。

個人的には4,000円台で買って放置しているから上がってほしいんだけど、今後の展望を教えて。
会社の説明では、ガスタービンは北米を中心に需要が強く、いま商談しているのは今回受注した分より先の2030〜2031年ごろに出荷する案件です。採算の良い受注が売上になるにつれて、利益率は徐々に上がっていく見込みです。
防衛の受注はここ3年ほど、年間で1兆5,000億円前後です。会社は、売上がこれからこの受注の規模に近づいていくとして、設備投資と生産能力の増強を進めています。
株価が見直されるきっかけになりそうなのは2つです。ひとつは次の中間決算で、会社がエナジーの上振れを利益の予想に反映するかどうかです。もうひとつはいま作っている次の事業計画で、利益をどこまで積み上げるかや資金の配分がどう示されるかです。反対に、防衛関連の銘柄がそろって売られた流れが続けば、決算が良くても株価は戻りにくいと思います。

長期保有前提で買ったし、気長に待つことにします…。
まとめ
- 三菱重工の2026年4〜6月は、売上収益+15.5%・事業利益+65.1%の増収増益で、受注高も25.7%増えた
- 利益の通期予想は据え置き。見通しを引き上げたのは受注高(7兆円)とフリーキャッシュフロー(6,000億円)
- 伸びの中心はガスタービンや原子力のエナジーで、会社はエナジーについて予想を少し上回る余地があると見ている
- 年間配当は25円から29円への増配予想で、5月の公表から変わらず
決算の確認の仕方は、決算の見方【AIとチェックリストを作ってみた】にまとめています!
※記載の数字はすべて執筆時点(2026年9月)のものです。個別銘柄の売買を勧めるものではありません。


