2026年8月7日に、auやUQ mobileを展開するKDDI(9433)が決算を発表しました。3月が決算期の会社なので、今回は第1四半期(4〜6月)の内容となっています。
今年1月に子会社(ビッグローブなど)の不適切な取引が明らかになったものの、株価は一時の下げから持ち直し、徐々に上がってきています。
それではさっそく確認していきます!

決算チェック(9項目)
① 売上と4つの利益
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1兆4,873億円 | +5.1% |
| 営業利益 | 3,142億円 | +21.1% |
| 税引前利益 | 3,085億円 | +20.2% |
| 純利益 | 1,955億円 | +22.1% |
※前年同期は、不適切な取引を受けて下方に訂正された後の数字です。
売上高の増加が5.1%なのに対して、営業利益は21.1%増えています。
② 通期予想に対する進捗率
KDDIの通期予想は、事業の売却などで出る一時的な損益を除いた「調整後」の利益で出ています。
| 項目 | 通期予想 | 前期比 | 今期1Qの進捗率 | 前年1Qの進捗率 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6兆4,100億円 | +5.6% | 23.2% | 22.7% |
| 調整後の営業利益 | 1兆2,100億円 | +5.0% | 26.0% | 23.1% |
| 調整後の純利益 | 7,310億円 | +2.7% | 26.5% | 22.9% |
※前年1Qの進捗率は、訂正前・調整前の当時の決算短信の数字と当時の通期予想で計算しています。
3つとも、前年の同じ時期より進んでいます。
③ 業績予想の修正
通期予想は、5月12日に出したものから変わっていません。会社は第1四半期が社内の計画を上回ったとしたうえで、下期に先を見据えた費用をかけるため予想は変えないと説明しています。
④ セグメントと増減の理由
| セグメント | 2026年4〜6月 | 前年同期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| テレコムコア(個人・法人向けの通信・端末の販売) | 2,107億円 | 1,763億円 | +19.5% |
| パーソナルグロース(金融・エネルギー・ローソンなど) | 555億円 | 508億円 | +9.3% |
| ビジネスグロース(AIインテグレーション・データセンターなど) | 185億円 | 152億円 | +21.6% |
| その他(楽天モバイルへのローミング・ミャンマーの事業など) | 299億円 | 178億円 | +67.7% |
※調整後の営業利益です。今期からセグメントを組み替えたので、前年同期も組み替えた後の数字です。
調整後の営業利益の増加548億円のうち、344億円がテレコムコアです。このうち180億円は通信料の収入の増加によるもので、昨年8月のauの料金改定やUQ mobileからauへの移行などが効いています。通信料以外の164億円は、おおむね3分の2が販促費の減少によるものです。
「その他」の増益には、ミャンマーの事業で貸し倒れに備えた引当金を取り崩した利益が含まれています(金額は開示されていません)。
パーソナルグロースのうち金融事業は、長期金利の上昇で住宅ローンの評価損が出たことなどで37億円の減益でした。
⑤ 会社ごとのKPI
KDDIの場合は、スマートフォンの稼働数・1回線あたりの収入・解約率の3つです。
| 項目 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| スマートフォンの稼働数(6月末) | 3,330万 | 3,291万 |
| モバイルARPU(1回線あたりの月の平均収入) | 4,400円 | 4,240円 |
| スマートフォンの解約率 | 1.17% | 1.23% |
会社はこの改善を、長く使ってもらえる契約を重視してきた成果と説明しています。
⑥ 自己資本比率と借入
自己資本比率(国際会計基準では親会社所有者帰属持分比率)は27.2%で、前期末の26.6%から上がりました。
⑦ キャッシュフロー
| 区分 | 2026年4〜6月 | 前年同期 |
|---|---|---|
| 営業キャッシュフロー | -1,135億円 | +3,311億円 |
| 投資キャッシュフロー | -1,444億円 | -2,416億円 |
| 財務キャッシュフロー | -371億円 | -451億円 |
| フリーキャッシュフロー | -2,579億円 | +895億円 |
営業キャッシュフローがマイナスになったおもな理由は、前年の同じ時期に増えていた金融事業の借入金が、今回は減ったことです。
⑧ 配当
| 中間 | 期末 | 年間 | |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期(実績) | 40円 | 40円 | 80円 |
| 2027年3月期(予想) | 42円 | 42円 | 84円 |
年間配当は4円の増配予想で、5月12日の公表から修正はありません。KDDIは2002年度から24期連続で増配しています。2027年1月までに最大3,000億円の自社株買いを行うことも決めています。
⑨ コンセンサス予想との比較
マネックス証券の銘柄スカウターで、2027年3月期の営業利益のアナリスト予想を確認しました(2026年9月19日時点)。
| 金額 | 会社予想との差 | |
|---|---|---|
| 会社予想(調整後の営業利益) | 1兆2,100億円 | — |
| コンセンサス(アナリスト予想の平均) | 1兆2,343億円 | +2.0% |
| いちばん強気な予想 | 1兆2,600億円 | +4.1% |
| いちばん慎重な予想 | 1兆2,150億円 | +0.4% |
※銘柄スカウターには会社予想が表示されないため、決算短信の調整後の営業利益と並べています(アナリスト予想が調整後の数字かどうかは分かりません)。
いちばん慎重な予想でも、会社予想をわずかに上回っています。
決算を読んでみて
今回の決算は増収増益で、子会社の不適切な取引が明らかになったあとも本業に影響は出ていないようで安心しました。
スマートフォンの事業も、改善が続いている印象です。料金改定で1回線あたりの収入が増える一方、稼働数も増えて解約率は下がっています。
営業利益の+21.1%には前年の数字の訂正の分も入っていますが、訂正前の前年同期と比べても+15.3%の伸びで、十分によい数字だと思います。
おまけ

通信以外のパーソナルグロースやビジネスグロースも、しっかり伸びてきているよね。具体的にはどんなことをやっているの?
通信以外の事業のうち、パーソナルグロースが個人向け、ビジネスグロースが法人向けです。会社はどちらも、今期の営業利益を前期から2桁伸ばす計画です。
パーソナルグロースには金融(auじぶん銀行やau PAY カードなど)やエネルギー(auでんきなど)、スマホの修理・補償、Pontaパスとローソンが入っています。会社によると、いま利益の伸びを引っ張っているのはスマホの修理・補償とPontaパス、ローソンです。
スマホ本体の値段が部品の値上がりや為替の影響で上がり、修理や補償の需要が増えています。Pontaパスはローソンのクーポンなどが付く有料の会員サービスで、ローソンはKDDIが三菱商事と半分ずつ株を持つコンビニです。ローソンの店頭でスマホのアクセサリーを売る試みも好調です。
金融は減益でしたが、クレジットカードのau PAY ゴールドカードの会員は1年で46万人増えて207万人になりました。

ビジネスグロースのほうは?
会社によると、ビジネスグロースはどの領域も増収増益でした。車などをネットにつなぐ通信のコネクティッドや、コールセンターなどの業務を請け負うAI-BPOも入っています。
なかでも売上の伸びが大きいのは、海外のデータセンター(+20.6%)とAIインテグレーション・サイバーセキュリティ(+19.2%)です。データセンターはヨーロッパなどで、AIを動かす処理の需要を取り込んでいます。AIインテグレーションは企業のAI導入やクラウドの利用を支える事業で、新規の案件が従来の3倍以上あります。

通信以外の事業も伸びていて、今後の成長に期待!
まとめ
- KDDIの2026年4〜6月は、売上高+5.1%・営業利益+21.1%の増収増益。通期予想は据え置いたが、進捗率は3つとも前年の同じ時期を上回った
- 伸びの中心は通信で、料金改定などで1回線あたりの収入が増えた
- 前年同期の数字は訂正で下がっているが、訂正前と比べても営業利益は+15.3%の伸び
- 年間配当は80円から84円への増配予想で、5月の公表から変わらず
決算の確認の仕方は、決算の見方【AIとチェックリストを作ってみた】にまとめています!
※記載の数字はすべて執筆時点(2026年9月)のものです。個別銘柄の売買を勧めるものではありません。


